
アジは、刺身やなめろうなど生食でも人気の魚ですが、注意すべきなのがアニサキスという寄生虫の存在です。
アニサキスは白くて細長い糸状の虫で、主に内臓に寄生し、魚の死後には筋肉へ移動することがあります。
見た目では発見しづらく、摂取すると激しい腹痛や嘔吐を引き起こす可能性があります。
アジにアニサキスがいる確率

アジの場合、寄生率は比較的低めとされていますが、ゼロではありません。
東京都の調査(2012~2014年)では、調べたアジ10尾からはアニサキスは検出されませんでしたが、
さまざまな研究や報告によると、アジのアニサキス寄生率は1~5%程度が多いとされています。
特に、日本海側よりも太平洋側のアジで寄生率がやや高いという報告もあります。
季節では、春から夏にかけて寄生率が高くなる傾向があるとされていて、
大型のアジや回遊性が高いものほど、アニサキスが見つかる可能性が増えるとされています。
アニサキスによる食中毒報告件数は、全国で年間300件以上とされており、そのうち「アジ」が原因とされるものも数%程度あります。
アジの刺身にもアニサキスはいるの?
アニサキスは、もともとアジの内臓に寄生しています。
魚が死んでから時間が経つと、アニサキスは内臓から筋肉(=刺身にする部位)へ移動します。
そのため、鮮度が落ちたアジや、内臓をすぐに取らなかった場合は、刺身の中にもアニサキスが入り込んでいる可能性があります。
アジに潜むアニサキスの見つけ方

アニサキスは寄生虫の一種ですが、主に海の魚介類に寄生します。
とくにアジやサバ・イカなどに多く見られます。
アニサキス症は激しい腹痛や嘔吐を引き起こすため、生食する場合には注意が必要です。
ここでは、アジをさばくときにアニサキスを見つける方法を、手順を追って詳しく紹介します。
新鮮なアジを用意する
アニサキスは時間が経つと内臓から筋肉(身)に移動します。
釣った直後や購入してすぐの新鮮なアジなら、アニサキスはまだ内臓にとどまっていることが多いですが、
鮮度が落ちると身に潜り込んでくるため見つけにくくなるので、鮮度の良いうちに処理することが第一歩です。
明るい作業環境を整える
アニサキスは白くて細長い(2〜3cm程度)の糸のような形をしています。
肉眼で確認できますが、暗い場所では非常に見つけづらいため、できるだけ明るい環境で作業しましょう。
白色LEDライトやデスクライトを使い、作業台には白いまな板を敷くのがベストです。
背景が白い方がコントラストで虫の姿が目立ちやすくなります。
新鮮なアニサキスはピクピクと動いていることがあります。
動いている場合は判別しやすいですが、死んでしまっている場合はただの糸くずのように見えることもあるため、注意が必要です。
三枚おろしの場合はていねいに解体する
アジを3枚におろす時は、内臓を傷つけないように慎重に行ってください。
内臓の周りには特にアニサキスが多く寄生しているため、腸を破るとアニサキスが身に移動してしまう可能性があります。
アニサキスが身に潜り込んでいる場合、特に腹側の筋肉(腹骨の近く)に多く見られます。
筋肉の中に白い糸のようなものが見えたら、それがアニサキスである可能性が高いです。
光にかざしながら、筋肉の繊維に異物がないか慎重に観察しましょう。
拡大鏡やスマホカメラを活用
アニサキスのような小さな寄生虫を見つけるには、拡大鏡やスマートフォンのカメラのズーム機能を活用するのも有効です。
特にスマホで撮影しながら見ると、ライトの光とカメラのズームにより、肉眼では見えなかった姿を発見できることがあります。
アニサキスを避ける調理法

アジを安心して食べたい場合、生食(刺身・なめろうなど)ではなく、焼き物や煮物など加熱調理を選ぶと安全です。
60℃以上で1分以上加熱、または−20℃以下で24時間以上冷凍するとアニサキスは死滅します。
また、冷凍処理済みのアジの刺身用パックなどを使うのも一つの手です。
まとめ
アニサキスは正しい知識と丁寧な処理を心がければ、恐れる必要はありません。
特にアジを家庭で調理する際は、明るい場所で腹身をよく観察し、異物がないか時間をかけて確認することが大切です。
見つけたら必ず除去し、心配な場合は加熱または冷凍処理を行ってから食べるようにしましょう。
知識があるだけで、安全に美味しくアジを楽しむことができます。